ミライの授業
『ミライの授業』瀧本哲史(講談社,2016年6月)
本屋で表紙を見て読みたくなり2時間くらいで一気に読みました。
14歳の中学生に著者が講演をした内容をまとめたもので,
「これからの未来にをになう14歳の子たちこそが新しい未来を作るのだ。
新しいことを始めたり,つくり出すときには必ず壁が立ちはだかるけど,
おそれることなく進みなさい。」
という内容です。
著者は未来をつくる5つの法則のそれぞれについて,かつてその当時は考えられなかった未来をつくり出してきた人たちのエピソードを紹介しながら,未来をつくる14歳たちにこれからの行動の指針を伝えています。
5つの法則は以下
- 世界を変える旅は「違和感」からはじまる
- 冒険には「地図」が必要だ
- 一行の「ルール」が世界を変える
- すべて冒険には「影の主役」がいる
- ミライは「逆風」の向こうにある
法則3で紹介されている人物にベアテ・シロタ・ゴードンさんがいます。
彼女は現行の日本国憲法の男女平等の規定を作った人です。
ひとつの新しい「ルール」を作ったことで,日本社会を変えたということで紹介されています。
彼女が作った憲法草案が本には引用されているので紹介します。
第18条
家庭は,人類社会の基礎であり,その伝統は,よきにつけ悪しきにつけ国全体に浸透する。それ故,婚姻と家庭とは,法の保護を受ける。婚姻と家庭とは,両性が法律的にも社会的にも平等であることは当然であるとの考えに基礎をおき,親の強制ではなく相互の合意に基づき,かつ男性の支配ではなく両性の協力に基づくことを,ここに定める。
これらの原理に反する法律は廃止され,それに代わって,配偶者の選択,財産権,相続,住居の選択,離婚並びに婚姻および家庭に関するその他の事項を,個人の尊厳と両性の本質的平等の見地に立って定める法律が制定されるべきである。
この草案は現行憲法の第24条に残されました。
第24条
1 婚姻は,両性の合意に基づいて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。
2 配偶者の選択,財産権,相続,住居の選定,離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては,法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して,制定されなければならない。
偶然この本に出合って,面白くて一気に読んでしまったのは,この前,この憲法の条文についてふれたことがったからなんだなと,運命を感じた読書でした。